BLOG

京都市北山の美容院

とし物語 vol58 ~美容師編7~

まんだらもオープンしてしばらくが過ぎたころ、オーナーから

ワインディングのコンテストにでないか?

という話があった。

(ワインディングは簡単に言うと、パーマを巻くこと)

もちろん僕は全然できなかったので、関係ないと思ってたのだが

なぜか僕も強制的にでろ!

という命令が下された。

僕と同期の人達はみんなすでにできる技術だった。

僕はまだ練習しだしたところで、到底できるわけがない。

なのに、2ヶ月後には大会があり

それに同期4人で出場しろ!ということになってしまったのだ。

えらいこっちゃ。

とにかくでなくちゃいけないので、練習しまくった。

が、やはりできない。

大会は、20分でマネキンの頭にロッドを60本以上巻く。

しかも綺麗に。

かつ

早く。

僕のタイムは40分以上。

不可能だ!

練習に練習を重ね、なんとか時間が25分で巻けるぐらいにまでなった。

が、どうしてもそこからタイムが縮まらなかった。

行き詰った。

やってもやっても縮まらない。

おまけに巻くのも綺麗にできなくなってきた。

あせればあせるほどできなかった。

練習は、夜だけでなく朝もするようになった。

朝練は先輩のまきさんと一緒にやってた。

正直、朝早くからやるのはいやだったが

まきさんと一緒なので楽しかった。

思えば、この頃はもう好きになってしまっていた。

いつから好きになったのかは覚えてないけど。

朝早くから二人きりで練習。

悪くないな。

朝、お店で待ってるとなかなかやってこない。

僕は

「あ、おはようございます。」

まき

「おはよう。がんばろね!」

なんて、会話を想像しながら待ってた。

が、約束の時間を過ぎてもやってこない。

そしたら急にお店のドアが開く音がした。

来たか!

スタッフルームで緊張して待ってたのだが、こちらには来ずに

いきなりチョキチョキという音が聞こえてきた。

あれ?

フロアの方に行ってみると、かばんをそこらへんに置いて

すでに練習を始めてた。

なんて人だ!

そもそもそっちが一緒に練習しようって言ってきたくせに、

挨拶もせずにいきなり勝手に練習しだしているなんて!

こっちは待ってるのに。

という気持ちだった。

そして僕も無言のまま練習しだした。

あとで聞くと、誰かと一緒に練習したほうががんばれるし

たまたま僕が練習をがんばってたので誘ったみたいだ。

で、遅れてきたから早く練習しないと。と思ってスグに始めたと。

逆に、遅れてきたのに練習してなかった僕を見て

「なんでこの人は練習してないのだろう?」

って思ったらしい。

これはどちらが正しいんでしょうか?

それはさておき、

あともう一息でタイムに間に合う。ぐらいの所まで来た。

もう一息。

僕はまきさんに

「もし今週中にタイムに入ったらなんか言うこと聞いてくださいよ。」

ってお願いしてみた。

まきさんは

「えっ!願いによるけどいいよ。」

って。

「願いって何なん?」

僕は一か八か

「できたらキスしてくださいよ。」

とお願いしてみた。

見事に断られた。

そりゃそうだ。

しかしめげずに

「じゃあ、できたらデートしてくださいよ。」

とお願いした。

「うーん、デートか。ご飯食べに行くんやったらいいよ。」

「いや、デートしてください。」

「うーーん、できたらね。」

よっしゃぁぁぁーーー!!

がぜん気合が入った!

何度やってもタイムに入らなかったが、この約束のおかげで

スピードアップすることができた。

そして・・・

とうとうタイム内に入ることができたのだ!

ついにやった!!

結果、技術も向上し

かつデートもできる。

最高だ!!

関連記事

  1. 京都市北山の美容院
  2. 京都市北山の美容院
  3. 京都市北山の美容院
  4. 京都市北山の美容院
  5. 京都市北山の美容院

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP