時はきた。
震える心を手を落ち着かせ、いざ女の子の前へ!
「こんにちは、今日はよろしくね。」
なんて言葉をかけたかどうかも覚えてないぐらい緊張してた。
女の子のすぐ隣の席には、お母さんが座ってた。
カットとパーマをするみたい。
担当はオーナーだった。
僕はその横で女の子のカットを。
人生初カット→ドキドキ→お母さん横に座ってる→つまり、こっちを見てる
→プレッシャー→耐えられない
こんな心境だった。
そんな僕を横目に、オーナーはあっという間にカットが終わってしまった。
やばいやばい。
急がないと。
焦れば焦るほどうまくいかず、ついにオーナーはパーマも巻き終わってしまった。
オーナーパーマ巻き終わる→お母さん頭動かしても大丈夫→つまりこっちを見れる
→プレッシャー→押しつぶされる
こりゃあかん。
予想通り、お母さんは娘さんの方を見てた。
僕はその目線にたえられず、普通は左サイドを切るときは左サイドの方に立って
カットするのだが、お母さんが右からみてるのでわざと見えないように
右サイドの方に立って、女の子の左サイドをカットした。
やりにくいったらありゃしない。
女の子に覆いかぶさるようにカットした。
小さい声で、
「ごめんね、ごめんね。」
って、あやまっといた。
だって、あなたのお母さんが見てるんやもん!
どうにかこうにかカットを終えて、女の子の方を見た。
「うぉ!かわいいやん!!」
自分でもびっくりしてしまった。
なかなかの出来だ。(と自分で思った。)
「おつかれさまでした~。ちょっと待っててねー。」
なんて、やさしい言葉を女の子にかけたのだが、店内はクーラーが効いてて
涼しいのに僕は外を走ってきたのか?
というぐらい、大量の汗をかいてた。
1人カットするだけで、へろへろだった。
しばらくするとお母さんも終わった。
お会計をしてたので、僕は挨拶とお見送りに親子の元へ行った。
たくさん練習もしたけど、僕なんかのカットでお金をもらってすいません。
みたいな気持もあった。
お会計も終わり、ドアの方へ歩いて行く親子。
僕は「ありがとうございました。」
って言おうとしたその瞬間!
なんとその小学生の女の子の方から
「ありがとう。」
って言われた。
僕はほんとに、うれしくて
うれしくて、うれしくて。
僕の目の前には、かわいい小さい天使がいた。
「お金なんかいらないよ!」
って言いそうになった。
ほんとは言いたかったけど。
今度はもっと練習して、うまくなるからね。
また来てね。
こうして、僕のカットデビューは無事に終わった。
追伸
あの女の子は今頃どうなってるのかな?
って思う。
もう普通に女性になってるんやろね。
ほんとにありがとうね。
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