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とし物語 vol45 ~大学生編12~

「お前もう動くなよ」

そう言われ、僕は従うしかなかった。

そして、殴られ続けた。

急に相手が僕の後ろに回り込んだ。

僕より小柄なやつだったのだが、僕を後ろから持ち上げて

コンクリートの地面に後頭部から落とそうとしたのだ。

いわゆるバックドロップ。

「あかんあかん、死んでしまう!」

僕はとっさに体を回転させて、顔面から落ちた。

鼻を強打した。

血がボタボタと流れてきた。

「いってー。」

と思って上を見上げた瞬間。

僕の顔面に相手の蹴りが飛んできた。

それで僕の鼻は完全に折れた。

血もかなりの量が。

寝てたらやばいので、立ち上がった。

するとまたパンチの嵐。

右目ばかりパンチしてくるので、右目がだんだん見えなくなってきた。

ほんとにしつこいぐらいずっと殴ってくる。

俺が一体何をしたんだろうか?

相変わらず女の子は人質にされてる。

僕はたまらず車の前に飛び出した。

「助けてください!!」

1台目の車は立ち止まってくれたが、そのまま行ってしまった。

ちょうど信号待ちの車があったので、その窓ガラスをたたいた。

「助けてください!!!」

窓すら開かなかった。

世間は冷たい。

そんなことしてると、相手の男が

「お前変なことしてると、この女を殺すぞぉおぉおぉぉ!!」

「それはやめろや!」

「そしたらこっちこいや!!」

そしてまた殴られ続けた。

なんとか彼女を逃がしたかったので、ちょっとずつさりげなく

殴られながらも離れていった。

目で彼女に合図した。

なんとか逃げてくれ。

その願いはかなうはずもなかった。

彼女はずっと震えていた。

後で聞いたら、僕があまりにも殴られ続けて血もかなりでてたので

死んでしまうんではないか?と思って怖かったって。

そのままだんだんと離れていってると、相手の男が

「お前あんまり遠く行くなや。あの女がどうなってもええんか?

あいつ殺すぞ!」

そう言って、彼女のほうへ走って行った。

「やめろや!!!」

僕も彼女のほうへ走っていくと、待ってましたと言わんばかり

また顔面を殴られた。

ふと彼女のほうを見ると、どうやらお金を取られてるみたいだった。

これは俺もとられるな。

なぜか冷静に考えられた。

最悪なことに財布には5万円もの大金が入ってた。

これはまずい!

僕は相手に気づかれないように後ろポケットの財布を取り出して

中から5万円をそっと抜き出して違うポケットに入れた。

すると、

「お前も金出せや!」

やっぱり。

僕は小銭しか入ってない財布を出した。

「お前これだけしか持ってへんのか?」

「別にええやんけ、なんぼでも。それだけや。」

「ほな、とりあえず全部だせや。」

「免許とカードあるし、金だけにしてくれや。」

「おう、まぁええわ。」

僕は数百円だけわたした。

ふぅ~。

これで終わったか。

と思ったのだが、なんと悪夢はまだ終わらなかった。

続く。

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