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京都市北山の美容院

とし物語 vol61 ~美容師編10~

時はきた。

震える心を手を落ち着かせ、いざ女の子の前へ!

「こんにちは、今日はよろしくね。」

なんて言葉をかけたかどうかも覚えてないぐらい緊張してた。

女の子のすぐ隣の席には、お母さんが座ってた。

カットとパーマをするみたい。

担当はオーナーだった。

僕はその横で女の子のカットを。

人生初カット→ドキドキ→お母さん横に座ってる→つまり、こっちを見てる

→プレッシャー→耐えられない

こんな心境だった。

そんな僕を横目に、オーナーはあっという間にカットが終わってしまった。

やばいやばい。

急がないと。

焦れば焦るほどうまくいかず、ついにオーナーはパーマも巻き終わってしまった。

オーナーパーマ巻き終わる→お母さん頭動かしても大丈夫→つまりこっちを見れる

→プレッシャー→押しつぶされる

こりゃあかん。

予想通り、お母さんは娘さんの方を見てた。

僕はその目線にたえられず、普通は左サイドを切るときは左サイドの方に立って

カットするのだが、お母さんが右からみてるのでわざと見えないように

右サイドの方に立って、女の子の左サイドをカットした。

やりにくいったらありゃしない。

女の子に覆いかぶさるようにカットした。

小さい声で、

「ごめんね、ごめんね。」

って、あやまっといた。

だって、あなたのお母さんが見てるんやもん!

どうにかこうにかカットを終えて、女の子の方を見た。

「うぉ!かわいいやん!!」

自分でもびっくりしてしまった。

なかなかの出来だ。(と自分で思った。)

「おつかれさまでした~。ちょっと待っててねー。」

なんて、やさしい言葉を女の子にかけたのだが、店内はクーラーが効いてて

涼しいのに僕は外を走ってきたのか?

というぐらい、大量の汗をかいてた。

1人カットするだけで、へろへろだった。

しばらくするとお母さんも終わった。

お会計をしてたので、僕は挨拶とお見送りに親子の元へ行った。

たくさん練習もしたけど、僕なんかのカットでお金をもらってすいません。

みたいな気持もあった。

お会計も終わり、ドアの方へ歩いて行く親子。

僕は「ありがとうございました。」

って言おうとしたその瞬間!

なんとその小学生の女の子の方から

「ありがとう。」

って言われた。

僕はほんとに、うれしくて

うれしくて、うれしくて。

僕の目の前には、かわいい小さい天使がいた。

「お金なんかいらないよ!」

って言いそうになった。

ほんとは言いたかったけど。

今度はもっと練習して、うまくなるからね。

また来てね。

こうして、僕のカットデビューは無事に終わった。

追伸

あの女の子は今頃どうなってるのかな?

って思う。

もう普通に女性になってるんやろね。

ほんとにありがとうね。

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