大学を無事に卒業し、すぐに美容師を始めようかな？と思ったが

専門学校も行かないといけないし、もう少しお金を貯めてから始めようと思い

しばらくフリーターをすることにした。

引き続きパチンコ屋さんで。

その他にも夏になったら、海の家でバイトしようかなと思ってた。

美容師をしだしたら、もうそんなことできないし。

今のうちだ。

いろんな経験をしておこう。

といいつつ、

ほんとは働くのがいやだった。

４月も１週間が過ぎたころ、ある大学時代の友達と電話でしゃべった。

「最近どう？」って。

話を聞くと、いろいろ大変そうだけど頑張って仕事してるみたいだった。

やっぱり仕事するのは大変だな。

僕は

「大変やなぁ。仕事するって。俺なんて、まだ仕事決まってないし。

だからまだできひんわ。」

と言った。

すると

「仕事できひんのじゃないやろ？やろうとしてないだけやろう。

やろうと思えばできるやん！」

心にグサッっときた。

・・・確かに。

僕はなんやかんや理由をつけて、逃げてるだけだった。

やる気があれば、働きながらでもできるだろうし。

みんな頑張ってるのに、自分だけ頑張ってない気がした。

すごく自分がかっこ悪く思えた。

僕は電話を切った瞬間から、働かせてもらえる美容室を探した。

美容師免許ないので、働きながら学校へ行かせてくれる所。

これが条件。

ハローワークへ行って探したり、求人誌を見て探したりした。

当時、美容師のカリスマブームがきてて、電話するたびに

「どうせブームにのっちゃったんやろ？」

みたいなことをすごく言われた。

「えっ?大学行ってたん?なんで美容師になるの？」

「普通に就職したほうがいいやん。」

「今から学校行くの？無理無理。」

「仕方がないから面接してあげようか？」

などなど、結構厳しいことも言われた。

その中でもある美容室のオーナーさんに合格というか、内定をいただけた。

ありがたい。

いろいろ面接を受けたり、厳しいことを言われたりして

もうここでいいかな？ってちょっと思った。

なんとなく自分の中で、今日１日だけ探してみよう。と思って

雑誌を手にとった。

それは普通のヘア雑誌で、京都の美容室をみてたら

いい感じの美容室がスタッフを求人してるところがあった。

お！ここいい感じやな。

面接行ってみようかな？

とりあえず電話してみようとおもったその時、

大学の時の友達が

「俺がずっと行ってた美容室がいい感じやし、店長さんに言うといたし

一回行ってみたら？これ紹介カード渡しとくわ。」

って言ってたのを思い出した。

紹介カードを見てみると、僕が雑誌で見てた美容室と同じだった。

これは！！

迷わず電話した。

すぐに面接をすることになり、履歴書を持っていった。

「いらっしゃいませ～。」

スタッフの方が出迎えてくれた。

席に通されて、オーナーさんが出てこられた。

女性の方だった。

面接は今までになくいい雰囲気だった。

オーナーさんも元大学生だったらしく、大学の途中で美容師になろうと思い

大学を辞めて美容師になったそうだ。

ここにはそういう人が何人かいるって。

オーナーさんが

「大学に行ってたら、年齢的に専門学校を出た人よりもいってるから

不利やと言う人達がいると思うけど、私はそうは思わない。

美容師も接客業やし、大学生やったらアルバイトもして社会にでてる経験も多少あるやろうし、

人生経験も二十歳の子たちよりもあるやろうし。

きっとそういう経験は、接客業をするうえで役に立つから。

技術の遅れは３年未満やったら、一生懸命やってたら絶対に追いつけるから。

だから、私は不利やと思わない。」

って言ってくれた。

ここだ！

と思った。

「他の美容室もまだ見てみる？」

って言われたが、もうここしかない!と思ったので

「もうここにします。ここで働かせて下さい！」

と言った。

そしたら

「いつから来れる？明日からは？」

って。

明日？？

明日って急だな。

来週からにしてもらった。

そのお店には女性のスタッフばかりで、男性はちょうど２日前に入ってきた子が

１人いるだけだった。

面接が終わり帰るときに、ちょうどその男の子がチラシ配りから帰ってきた。

僕は自分では割と丁寧に

「あっ、よろしくお願いします。」

と頭を下げた。

すると、彼は

「ういっす。」

みたいな感じだった。

頭は金髪で２０歳。

一瞬ヤンキーか？って思うような感じだった。

これはなめられたらあかん！

と思い、次の日スグに僕も頭を金髪に染めに行った。

こうして無事、働く場所が決まった。